Kindaichi Kousuke MUSEUM

事件簿編さん室

金田一耕助図書館
├5F:横溝作品の源流
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金田一耕助視聴覚室

金田一さんの現場検証

展示室:木魚氏の蒐集品

木魚のおと

リンクターミナル

作者名(五十音順)
 いけうち誠一
 岩川ひろみ
 江原伸
 鳳英洋
 小山田いく
 掛布しげを
 影丸譲也
 ささやななえ
 J E T
 田中つかさ
 たまいまきこ
 つのだじろう
 直野祥子
 前田俊夫/橋本一郎
 金田一以外の横溝作品
サスペリアミステリー
掲載作品
 暁綾子
 秋乃茉莉
 池田恵
 えぐちゆう
 小川和美
 上坂ナオ(高森夜魚)
 児嶋都
 佐藤千江子
 宗美智子
 高橋葉介
 たまいまきこ
 鳥羽笙子
 長尾文子
 永久保貴一
 服部あゆみ
 ひたか良

 
 
直野祥子
スペードの女王
(「直野祥子集」収録 ブロンズ社 昭和52年)
「直野祥子集」表紙 忘れられた金田一コミックが、またひとつ掘り起こされた。

最初に木魚庵のもとに情報を寄せてくださったすーじーさんの記憶によれば、「スペードの女王」は「ヤングレディ」という女性誌に読み切りで掲載されたものらしい。
(初出「ヤングレディ」昭和52年2月8日号掲載)
巻末の略歴によると、作者の直野祥子は「ガロ」新人賞受賞後、レディスコミックのはしりのような作品を描いていたようだ。
本書に収録された他の作品は、たしかにレディコミ風の愛と性を扱ったもので、「スペードの女王」は、異色の存在である。
何より画風が本書収録の他の作品と一線を画している。骨太の線で人物や背景などのデッサンが劇画っぽい。女性誌よりも古巣の「ガロ」に掲載した方が似合いそうなタッチなのだ。
金田一耕助は、常に口の端を吊り上げてニヤニヤしているし、相棒の警部は時代を反映して加藤武そっくりである。
しかもヒゲ警部なんてふざけた名前で、金田一に親しみを込めて「ヒゲさん」とまで呼ばれているのだ!
ストーリーは、60ページ内にまとまるよう、ややあらっぽいが原作に忠実にダイジェストしている。緑ヶ丘荘の管理人さんも登場しているし、二週間も音信不通となった金田一を、ヒゲ警部がおろおろしながら心配するさまもプリチーである。

ちなみに『真説金田一耕助』(毎日新聞社)に収録された横溝正史の日記によれば、昭和51年11月10日に「ヤングレディ」の編集者と直野が劇画化の挨拶に横溝家を訪れている。
翌12月には影丸譲也の「八つ墓村」増刷の連絡があり、明けて昭和52年1月にはささやななえが「獄門島」連載の挨拶に、7月にはチャンスコミック社の角谷徳男が「湖泥」劇画化の許可を得に訪れている。
横溝ブームが劇画界にまで浸透してきたことがうかがえ、興味深い。

(情報提供:すーじー さん)
「スペードの女王」画像
捜査の合間にエロ写真を見てなごむ金田一耕助とヒゲ警部(笑)
  
※ 表紙画像は、紹介のための引用です。この件について、関係各位からのお問い合わせは、こちらをクリックして下さい。
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