のろいの黄金塔
(原作「三つ首塔」 週刊マーガレット 昭和41年) |
「◆思わず、あなたをぞーっとさせるこわーいまんが!」
「▼百億の遺産と、黄金塔をめぐって、
つぎつぎと、おそろしい殺人がおこった。
犯人ははたしてだれ……!?」 |
情報源は「新版横溝正史読本」の浅羽莢子氏のアンケート回答による。
浅羽氏によると、「マンガのほうの、原作と変えてある部分がよかった。原作を後年読んでショックだった」(「新版横溝正史読本」)そうである。
たったこれだけの情報をもとに、八方手を尽くして調べた結果、連載時のタイトルは浅羽氏の記憶していた「幽霊塔」ではなく、「のろいの黄金塔」だったことが判明した。
本作は、「週刊マーガレット」昭和41年No.3〜No.7まで、5回に渡って連載された。単行本化は不明。連載1回あたりのページ数は、表紙も含めて13ページ。まとめれば約60ページの作品となる。
展開はほぼ原作のとおりだが、金田一耕助は登場しない。登場人物の名前もすべてオリジナルに変更されている。
全話を入手して通読したわけではないのだが、「有名な私立探偵の神田一郎氏」が、百億円の遺産を相続することになったヒロインをかくまっているうちに次々と親戚が殺されていくという物語になっているようだ。そして最終話は、浅羽氏の記憶にあるとおり「原作と変えて」あり、なるほどこれでは金田一耕助の出る幕はないと思ったことである。
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「のろいの黄金塔」が、なぜ今までの横溝コミック史から葬り去られていたのかという謎も、なんとなく想像がつく。
ページ脇の柱のコメントから次週予告まで、「マーガレット」をまんべんなく目を通してみたのだが、本来あるべきはずの「横溝正史原作」の文字が、どこにも見当らない。
あくまで江原伸の「オリジナル」スリラーまんがという扱いなのである。
さしずめ翻案という扱いになるのだろうが、これでは横溝ブームに乗って復刻、というワケにはいかなかっただろう。
原作者の名前がない江原伸のマンガを、横溝正史「三つ首塔」と結びつけて記憶していた浅羽氏には、改めて敬服する。 |
犯人というにはずいぶんさわやかなお顔立ち
しかしてその実態は・・・
↓
ズルッってあんた、それ原作違ってませんか?
しかも名探偵・神田一郎氏から痛烈なひとことが!
↓
ウン、たしかに「なにをっ!」といいたくなるよね、高杉くん |