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なんと「蒼いけものたち」
のサントラCDが発売中!
 


火曜日の女

日本テレビ 午後9時30分〜10時26分
(「いとこ同志」のみ 午後10時〜10時56分)
 
 金田一耕助の登場しない作品まで、「金田一もの」としてドラマ化される昨今とは逆に、金田一ものなのに名探偵の登場しない横溝ドラマがあった!
 そこで、ドラマの雰囲気だけでも伝えることができればと思い、放映当時の新聞から、番組紹介記事を抜き出してみました。
 
 番組紹介にもあるとおり、「舞台も時代も現代に移しかえ、ヒロインを現代的な女性に設定。サスペンス・メロに仕上」がっており、斧・琴・菊の見立て殺人や鬼首村手毬唄は登場しません。
 横溝特有の「犬神」だの「青池」だのといった珍名も極力排除され、たとえば佐清・佐武・佐智が清文・武臣・智和のように現実的な名前に変わっているという具合です。
(その親たちは月子・雪子・花子と、松竹梅とたいして違わない名前だが)
 
 しかし清文の佐清は、報道カメラマンとして従軍しているうちカンボジアの内戦に巻き込まれ、顔にやけどを負ってゴムマスクをかぶっているし、三つ首塔よりおどろおどろしそうな「首なし三つ地蔵」なんてのも登場します。横溝テイストが、すべて払拭されてしまったわけではないのです。あらすじを追ってみても、意外に原作に近い展開をしているのがおわかりいただけるでしょう。
 
 「いとこ同志」放映と「三つ首塔」の角川文庫刊行は同時期であり、角川文庫「三つ首塔」初版には、「NTV『火曜日の女』(いとこ同志)でテレビ化!」のオビがつけられていました。
 
 この脚色が、当時の視聴者にどのように受け止められたか、投稿欄の意見も再録してみました。
 
なお、「蒼いけものたち」のテーマ曲がインディペンデント・レーベルからCD化されています!
「火曜日の女(佐藤允彦・女を奏う)」\2625
テーマ曲をかけながら、酒井和歌子になったつもりで「たけしちゃーん!」と叫んでみましょう。
 
 
題名(原作) 話数/
放映日
あらすじ
蒼いけものたち
(犬神家の一族)
第1回
S45/8/25
推理作家横溝正史の代表作「犬神家の一族」をテレビ映画化した作品。東京の裏町で幼い弟と二人、ひっそり暮らしていた若い女性、水川美矢子(酒井和歌子)は、突然土地成り金の老人から、遺産を受け取ることになる。しかし相続の条件に、老人の三人の孫のうちだれかと結婚しなければならないとあり、迷う美矢子の周囲に次々と殺人事件が起こるのだった…。
(8/25付 読売新聞より)
 
 横溝正史の代表作「犬神家の一族」を佐々木守が脚色。テレビ化にあたっては、舞台も時代も現代に移しかえ、ヒロインを現代的な女性に設定。サスペンス・メロに仕上げる。
 水川美矢子(酒井和歌子)は、東京の裏町で幼い弟・武(室田一人)と肩を寄せ合って生きていた。
 ある日突然、弁護士・館野(中山仁)が訪れ、彼女の亡父に恩義を受けた老人が死に、遺言でその全財産を彼女に譲るという。
(8/25付 朝日新聞より)
 
第2回
S45/9/1
美矢子(酒井和歌子)に遺産を送ろうという土地成り金の老人は、昔、美矢子の父に助けられた人だという。遺産相続のためには老人の孫のだれかと結婚しなければならない、という条件に不満な美矢子は、しぶしぶ遺産相続に立会う。
(9/1付 読売新聞より)
 
第3回
S45/9/8
美矢子(酒井和歌子)は殺された武臣(大出俊)に最後に会った人物だというので、警察できびしく調べられる。だがその最中、清文(大丸二郎)がサングラスをつけた男に襲われる。美矢子の疑いは晴れるが、今度は美矢子の弟武(室田一人)が、サングラスの男がひそむ山で、行方不明になってしまう…。
(9/8付 読売新聞より)
 
第4回
S45/9/15
新聞紹介記事なし
第5回
S45/9/22
智和(柴田p彦)殺害の時刻にアリバイのない美矢子(酒井和歌子)はきびしい警察の追及を受ける。そんなとき、行方不明と伝えられていた故富岡老人の晩年の妻・菊乃(東恵美子)の消息が判明した。菊乃は富岡老人の三人の娘にいびり出された人で、その息子は清文(大丸二郎)を傷つけ、武臣(大出俊)を殺したサングラスの男に似ているという。警察が山狩りをしようとする矢先、今度は清文が殺された。

写真説明:美矢子(酒井和歌子)は生き残った清文(大丸二郎)と結婚する決心をしたが……。左は清文の母・雪子(沢村貞子)
(9/22付 読売新聞より)
第6回
(最終回)
S45/9/29
清文(大丸二郎)の死体を検視した警察は、その指紋が犯人と目された三枝修平(大丸二郎二役)のものであることを確かめたが修平と思われていたサングラスの男は実は清文だと知った警察は、再度の山狩りで清文を捕える。だが、清文の申し立ては、つじつまが合わなさ過ぎた。
(9/29付 読売新聞より)
 
題名(原作) 話数/
放映日
あらすじ
おんな友だち
(悪魔の手毬唄)
第1回
S46/6/22
横溝正史の原作「悪魔の手毬唄」を佐々木守が脚色した五回シリーズのサスペンス・ドラマ。人気スター牧村ゆかり(范文雀)は、あるタレントから求婚され、気持ちを整理するため初恋の青池慎一(峰岸隆之介)のいる故郷・鬼首村へ帰る。ゆかりには暗い過去があった。二十三年前、ゆかりの誕生直前に、父が殺人事件を起こしたので、彼女は母と共に村を追われたのだった。だが、村長選が繰り広げられている村では、婦人票をねらった立候補者たちが、ゆかりを自分の陣営に利用しようと、奪い合いを始めた。
(6/22付 読売新聞より)
 
第2回
S46/6/29
篠塚(高橋昌也)は対立候補の榊原(伊達三郎)を文子殺しの犯人にまつりあげ、評をかせごうとする。が、榊原も娘・泰子(川崎あかね)を慎一(峰岸隆之介)と結婚させて同情票をふやそうとする。ゆかり(范文雀)はその醜い争いに耐えかね、通夜の席上、慎一への愛を告白してしまい、慎一の母・時子(斎藤美和)を怒らせてしまう。
(6/29付 読売新聞より)
 
第3回
S46/7/6
慎一(峰岸隆之介)との結婚式直前に殺された泰子の死を、泰子の父・榊原(伊達三郎)は選挙運動に利用し、対立候補の篠塚(高橋昌也)をけ落とそうとする。ゆかり(范文雀)は利害のため娘の死も顧みない両候補に深い怒りをおぼえる。一方、警察もこの連続殺人事件に乗り出してきた。
(7/6付 読売新聞より)
 
第4回
S46/7/13
殺人者の魔手はゆかり(范文雀)の身に迫るが、里子(鮎川いずみ)が駆けつけたので犯人は逃げた。警察は殺された文子と泰子がゆかりの異母姉妹であることから、彼女の父が犯したという二十三年前の迷宮入り事件を洗い始めた。一方、ゆかりたちは里子の挙動がおかしいのに気づく。
(7/13付 読売新聞より)
 
第5回
(最終回)
S46/7/20
第三の犠牲者は慎一(峰岸隆之介)の妹・里子(鮎川いずみ)だった。里子の母・時子(斎藤美和)は半狂乱となり、慎一とゆかりも深い悲しみに襲われる。だが、ゆかりは里子がゆかりのドレスを着て殺されていたことから、犯人はゆかりをねらっていたのではないかと考える。
(7/20付 読売新聞より)
 
題名(原作) 話数/
放映日
あらすじ
いとこ同志
(三つ首塔)
第1回
S47/8/22
「いとこ同志」設定の確かなスリラー

 ホームドラマ調、ドキュメンタリー・タッチ――このシリーズはさまざまな形からサスペンスを取り上げているが、今度は真夏という季節を配慮して、真っ向からスリラー色を出している。
 原作は横溝正史の「三ツ首塔」
(ママ)で、約六千万円の遺産相続をめぐり、むき出しになった人間の欲望と、次々と起こる奇怪な殺人事件を描いている。遺産相続人と指定された若い娘小百合(島田陽子)、保護者となっている大学教授の誠也(仲谷昇)、婚約者の弟と称する青年(佐々木剛)、いとこたち(春川ますみ、根岸明美、可愛和美ほか)らが主な登場人物だ。
 横溝作品の特色といえる設定の確かさに加えて、意外なドンデン返しもあり、新鮮さはないが、このシリーズとしては水準作となっている。ヒロインの島田陽子は成長株として注目されている十九歳の女優。まだぎこちなさも残るが、ときおり息をのむほど美しい表情をみせる。六回連続。脚本は佐々木守、監督は松尾昭典。
(8/22付 読売新聞より)
 
第2回
S47/8/29
百合(島田陽子)はいとこ同士(ママ)のいさかいから逃れて、湖畔に次郎(佐々木剛)の姿を求めるが、次郎は次郎の父が百合の祖父の罪をかぶって死刑になったという意外な事実を打ち明ける。
(8/29付 読売新聞より)
 
第3回
S47/9/5
誘かいされた百合

 遺産相続をめぐるいとこ同士
(ママ)の争いは、ついに、四人の死者を出した。身の危険を感じた百合(島田陽子)は、ナゾの青年、高杉次郎(佐々木剛)の助けを得て、白川村を逃げ出し東京へ向う。
 百合の家では、いとこたちが集まり”犠牲者がこれ以上出ないうちに遺産をわけてしまおう”と話合った。だが、その席上、突然停電した。やみにまぎれて百合は誘かいされた。誘かいしたのは、白川村で殺された節子の夫志賀幸二(鶴賀二郎)だった。恐怖のため失心した百合を、志賀は自分の家に運ぶ。

写真説明:ヒッピー風の衣装に姿を変えた百合(島田陽子=右)は次郎(佐々木剛)と東京へ…
(9/5付 朝日新聞より)
 
第4回
S47/9/12
明美殺害現場にいた百合(島田陽子)と古坂(水谷豊)はきびしい追及を受けるが、証拠は不十分。ところが明美の通夜には不意に次郎(佐々木剛)が現われ、今夜も必ず事件が起こると百合に告げる。果たして誠也(仲谷昇)がナイフで刺され病院に運ばれるが、刑事は上野家をうかがう怪しい男を発見した。
(9/12付 読売新聞より)
 
通夜の日また事件

 百合(島田陽子)を誘かいしたが何物かに殺された志賀、その犯人と推定されたバーのマダム明美も殺され、犯人像は混とんとして不明。そして明美の通夜の席。集った
(ママ)遺産相続人たちは互いに疑心暗鬼。殺された明美の若いつばめ古坂(水谷豊)などは、百合の伯父で学者の上野誠也(仲谷昇)があやしいとさえいい出す。
 そんなところへ、遺言で百合が結婚する相手とされた高杉卓也の弟次郎(佐々木剛)が現れ「今夜も必ず事件がおこる」という。
(9/12付 朝日新聞より)
 
第5回
S47/9/19
遺産相続関係者のうち七人が殺され、残された関係者間の疑心暗鬼はますますひどくなった。そんな時、百合(島田陽子)は次郎(佐々木剛)から首なし三ツ地蔵(ママ)の話を聞き、手がかりをつかむため由香利(可愛和美)のマンションへ忍びこむ。
(9/19付 読売新聞より)
 
”首なし三つ地蔵”とは…

 遺産相続の関係者のうち、すでに七人が殺された。残る一条百合(島田陽子)をはじめ、かおる(悠木千帆)由香利(可愛和美)姉妹や、姉妹をめぐる男たちはますます疑心暗鬼になった。歌手由香利のマネジャー鬼頭(草野大悟)は”かおるとその愛人辻森(穂積隆信)が怪しい”と思っているし、辻森は、しっと深いかおるにあいそをつかして百合と接近しようとしている。
 そんなとき、百合は、次郎(佐々木剛=殺された婚約者の弟)から、”首なし三つ地蔵”の話をきいた。
(9/19付 朝日新聞より)
 
第6回
(最終回)
S47/9/26
由香利殺しの容疑はかおる(悠木千帆)と辻森(穂積隆信)にかけられたが、証拠はない。一方、百合(島田陽子)と次郎(佐々木剛)は上野教授(仲谷昇)の研究室で首なし三つ地蔵の手がかりをつかむが、そこで次郎は百合に思いがけない事実を告白した。自分こそ遺言状で百合と結婚するよう指定された卓也だ、というのである。
(9/26付 読売新聞より)
 
現実離れ「いとこ同志」

▼日本テレビ系の「火曜日の女シリーズ25回・いとこ同志」は遺産相続争いで殺人事件が次々起こる人間のみにくさを描いているが、どうも現実離れしている。これまで比較的身近な題材が多かっただけに、今回のものは原作重視のスリラーになってしまってつまらない感じがするのだろうか。
(愛知県瀬戸市・会社員・藤井さん)
 
(S47/8/28付 読売新聞「放送塔」より)
 

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