内 容 紹 介 |
REPORTS
・名探偵のいない部屋
・ルック・オブ・ラヴ
・名探偵の財産を洗え!
・耕助をめぐる女たち
・バリバリ、ガリガリ
・あの人は戦場にいった
・金田一耕助を邪推する
・最後のミステリー |
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SHORT-SHORT STORIES
「枯れ野」
「別れの予感」
「あいたくて」
THE OTHERS
・金田一くらぶ1
・金田一くらぶ2 |
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「あの人は戦場にいった」より(部分抜粋)
彼が戦場でなにをやっていたのか前向きに考えてみよう。彼の最大の武器は頭脳だが、軍隊で頭脳的な采配が期待されるような地位に彼がいたとは思えない。また、負傷した様子はないから、前線で戦闘を行なう兵科は除外していいだろう。六年という召集期間の長さ(普通は2、3年あるいは4、5年で召集解除になり帰国できるらしい)を考えれば特殊な任務だったのかもしれない。頭脳以外の彼のセールスポイントと言うと?
金田一はアメリカ時代にカレッジに通いながら、病院で看護助手のバイトをしていた。そこから推量して、彼が中退した大学は薬学関係だったのではないかと書いた人がいる。ここで『獄門島』の記述が重要になってくる。
鬼頭千万太は一度かなりひどいマラリアにやられたことがあって、どうかするとそれが再発した。そんな場合いつもつききりで介抱してやるのが金田一耕助だった。(P15)
戦場で一般兵士が、特定の戦友の介抱に時間を割けるはずはない。この記述が真実を伝えているならば、金田一の任務が「看病」であったことを傍証するのだ。
顔色が悪く腕の立たない金田一は、大陸で衛生要員として選ばれ、軍医に近い場所で働いていたのである。そう考えれば「戦場で彼は数えきれないほどの死体を見てきた」(獄門島)という一文が重い意味を持つではないか。 |
どうです、この洞察力! 原作の記述を無理なく活かして、金田一像に新たな一面をつけ加えています。
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コラム「現在・過去・未来 あの人に逢ったなら…」より(部分抜粋)
金田一耕助に悪意を持っている人は少ないだろうが、この期に及んで彼のことを熱っぽく語る人もめったにいない。「なんで小野寺昭が金田一をやるのよーっ!」と憤慨する人も最近はいないようだ。
往年の横溝正史ブームの頃、「金田一耕助を守る会」「金田一耕助に年を取らせない会」などのファンクラブが雨後のタケノコのごとく結成されたと伝え聞いている。会員だったお姉様方は今も彼を好きだろうか?子供を寝かしつけたあと「今度は鶴太郎ですって?
ばか言ってんじゃないわ」なんて、昔とった杵柄でテレビ局に抗議文を書いたりしているだろうか?
実を言うと私は今、この先輩がたをちょっと恨んでいるのだ。金田一について書かれた文章があまりに、あまりに少ないからである。たくさんのサークルがあったにもかかわらず、なんで彼女たちによるきちんとした研究書が1冊もないのか不思議でならない(研究する価値はあると思う。文化という視点においても)。
誰かが、私のような物好きのために金田一のパロディ小説集や評論集を作ってくれないかしら、と虫のいいことを願っている。虫がよすぎるので今回は自分で作ってみたのだ。
私は、金田一に関する文章を浴びるほど読みたい、もっと彼を研究する人が増えてほしい、ただそれだけなのです。 |
……ひろりんさん、当「金田一耕助博物館」は、お気に召しましたでしょうか?
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